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民法改正その2~債権関係

民法改正その2~債権関係


Q:前回の「相続関係」の民法改正の解説に続いて、今回は2020年4月1日施行の「債権関係」の民法改正について、そのポイントを解説して下さい。

A:事業運営にあたり必ずチェックを

 

Ⅱ 債権関係の改正民法

1.消滅時効関係

改正前は原則10年、例外的に職業別短期消滅時効(商取引債権5年、弁護士報酬2年、医師報酬3年等)でしたが、改正後は原則5年(過払金返還請求権10年等一部例外あり)に統一、職業別短期消滅時効は廃止。なお賃金請求権は、改正前2年から改正後5年(経過措置分は3年)に変更。

 

2.法定利率関係

改正前の法定利率は、民事で年5%、商事で年6%でしたが、改正後は年3%に引き下げました。他に緩やかな変動制(3年毎見直し)の導入、商事法定利率は廃止です。

 

3.保証関係

(1)極度額の定めのない個人の根保証契約は無効:改正前は、個人の根保証契約に「限度額」がありませんでした。改正後は、個人が保証人になる「根保証契約」は、保証人の支払金額の上限「極度額」を書面等で合意のもと定めなければ無効です。

(2)公証人による保証意思確認手続きの新設:会社や個人が事業用融資を受ける場合、当該事業に非関連の第三者が保証人になり、将来予想もしない多額の支払いを迫られる事態が生じています。改正により、個人が事業用融資の保証人になるには、公証人による「保証意思確認手続き」を経なければ契約無効となりました。但し法人が債務者の場合の法人役員等、個人が債務者の場合の共同事業者や配偶者は手続き不要。

 

4.約款関係

改正により、未整備であった「定型約款」に2つのルールを定めました。

(1)定型約款が契約の内容となる要件:①当事者間で定型約款を契約内容とする旨の合意をするとき

②定型約款を契約内容とする旨を予め顧客に「表示」して取引するとき。但し一方的に顧客の利益を害する不当な条項は無効。

(2)定型約款の変更の要件:改正前は事業者が一方的に約款内容の変更可能でした。改正後は、①変更が顧客利益に適合、②変更が契約目的に反しない、理由が合理的、顧客に不利益変更を事前周知の場合に限る。

 

5.意思能力関係

認知症等により意思能力を有しない者が行った法律行為(契約等)は無効とします。

 

6.賃貸借関係

①「敷金」につき、賃貸借契約終了時に賃貸物の返還を受けた貸主は、賃借料等の未払債務差引き後の敷金残金返還義務があり。②「借主の原状回復義務」は通常損耗や経年変化については義務なし。

 

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令和2年9月

税理士法人石井会計



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